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永遠の名曲 「忘れ草(そう)」



9月は2回しか新しい記載ができなかった。がんばらねば。
9月は2回もトラックバックをいただいた。正直に嬉しい。

アリエッティを僕は酷評したが、
「翔くんの母方のお金持ちの実家=豊かな地球、母なる自然
病気の翔くんや破たんしつつある家族=病みつつある地球
アリエッティ家族=人類のメタファーかなと思っています。」
という解釈をいただいた。
なるほど、と思えた。得心した。
病んでいる地球であるから、翔はあのように無表情なのだという点も理解できた。
「君は僕の心臓だ」をどのように解釈するかという問題は残ったが。
ただし、そうであるならば、監督はその暗喩が存在することを理解できるような映画設計をしてほしかったと思う。あるいは、一見、普通の童話的物語でありながら、実は・・・という二重構造になっていれば、とも思えた。
いずれにせよ、「アリエッティ」は傑作になり損ねた不幸さに包まれているというのが、僕の感想だ。

ワッシーさんにはチト河内のことなど教えていただいた。そして、「ジョー2」が好きな方が多いことを教えていただいた。
感謝。

さて。
「忘れ草(そう)」もまた、僕にとっては永遠の名曲だ。
静かな鈴の音のような導入から、やがてMIOのしっとりした声が浮かび上がる。

時には思いだすだろう 冷たい夜露 降る星を
しのいで包む 一枚の マントの下の ぬくもりを


歌詞も音楽も歌唱も全て完璧と言っていい。ここでも富野の人肌を感じさせる言葉が、それを支える馬飼野の音楽が、そして、言葉に血潮と魂を吹き込むMIOの素晴らしい声が、わずか2分44秒の世界に限りない深みを与えている。
題名も含めて、こんなに強い日本語の言葉の力を感じさせてくれる「忘れ草(そう)」は数ある日本の歌謡曲の名曲と伍して、引かない。

馬飼野は僕の耳で聴きとった限りでは、半音を使わず、素直な音の流れを作っていた。太文字は1音階上の音を表している。

ソソファミ(時には) ドレミレドソラソ(思いだすだろう)
ソソファミ ドレド(冷たい 夜露) ミレドレラ(降る星を)
ララシド シドミ(しのいで 包む) ミミレドレ(一枚の)
シレドラ(マントの下の) ララミレシ(温もりを)

歌詞の一音一音に音を与え、前半は要所要所で1音階、音を高めて流す。そして、「温もりを」の言葉で一気に駆け上がっていく。MIOの声も一緒に駆け上がる。

ドレミ ミレ(だから 今) ソミミミファミレ(どこにいるのと)
レレミレド(叫んでる) ソレレレミレド(私の心)
ドレミ(忘れ草が) ドレミ(あるのなら)
ミミドレ(教えてくれ) ラ・・・(こっそりと・・・)

ピアノで弾いてみると、馬飼野が並べた音の美しさに惚れ惚れする。そして、歌の後半の切なさと芯の強さの両方を表しきったMIOの歌唱の素晴らしさに、やはり惚れ惚れする。
この歌詞の世界の女性のたくましさ、しかしその切ない気持が、MIOの声の向こうに見える。(※1

「Hey you」と「忘れ草(そう)」は、ザブングルと言う番組から離れても魅力を全く損なわない名曲であり、アニソンの殿堂入りは間違いない。だが、やはりというか、アニソンというだけで扱いは劣悪だ。イデオンもそうだが、「知ってる人はとことん好き。でも、知らない人が全国民のほぼ99.99%くらい???」の状態だろう。今回のベスト盤を契機に、わずかでもこの曲が再評価されてほしい。日本の文化史の、辺境であるアニメ史の、しかも極片隅で埃をかぶって消えていい歌ではない。絶対に。

この歌でMIOは認められた。当時、絶頂期にあった富野喜幸の監督作品「戦闘メカ ザブングル」で、活きがよくて、格好良くて、しかも色っぽい歌が流れた、その歌手は誰? と、アニメ愛好家やマスコミが色めきたった。
この歌を足がかりに、MIOは上昇気流に乗った。
元々、「試し」の起用だったのだろう。この挿入歌でよい結果(売り上げと人気)を得られたなら、次の主題歌の担当に採用する‐と。KINGレコードは当時、富野監督作品で新人歌手を起用して、アニメ業界や愛好家の後押しをいただき、全国区へ人気を拡大させようという目論見を持っていたのだと思う。その第一号がMIOだったかもしれない(他の例を知らないので、僕の憶測である)。
そして、MIOは見事にその期待に応えた。想像するに、大成功だったのではないか? どれだけの業績、売り上げがあがったかは知らない。だが、当時の論調として、「Hey you」と「忘れ草(そう)」は絶大な歓待を受けたと記憶する。
だからこそ、MIOは次の作品である「聖戦士ダンバイン」の主題歌と副主題歌に抜擢されたのだろうと思う。
それは、僕らアニメ愛好家、富野チルドレンからすれば、非常に得心のいく、自然な起用であった。(※2
こうして彼女が巡り合った「ダンバイン 翔ぶ」「みえるだろう バイストンウェル」の2曲であるが、これがまた名曲であった。そして、MIOという歌手の魅力が素晴らしいまでに溢れる、最高の相性の歌であった。
この歌たちについては、ダンバインについて触れる折にまとめて語りたい。だが、今の時点で言えることは、「こんな素晴らしく、格好良くて美しい歌は、そうそうない」ということだ。
だが。
逆説的なことを語れば、「Hey you」「忘れ草(そう)」「ダンバイン 翔ぶ」「みえるだろう バイストンウェル」の4曲が素晴らしすぎたのかもしれない。この4曲が素晴らしすぎて、後が続かなかった・・・かも、しれない。この4曲、そして続く「Get it!」「Coming Hey you!」を上回る相性のよい曲に巡り合えなかったことが、MIOの悲劇であるかもしれないのだ・・・。

「戦闘メカ ザブングル」の放映は1982年だった。その年の夏に「THE IDEON」が劇場公開されている。そして、その翌年1983年に「聖戦士 ダンバイン」が放送されている。繰り返すが富野監督の絶頂期である。
この夏に劇場版として「ザブングル・グラフィティ」が公開された。90分の尺であり、併映されたのが、やはり同時期に放送され、高橋良輔監督の出世作となった「太陽の牙ダグラム」の総集編である「ドキュメント 太陽の牙ダグラム」だった。
MIOは当然のごとく、この「ザブングル・グラフィティ」の主題歌を歌っている。
「Get it!」「Coming Hey you!」の2曲だ。
これらもまた、最高の出来栄えの名曲となった。

余談になるが、ある意味、富野と言う人は常に製作環境と戦わねばならない人だった。本来、製作者(プロデューサー)が担当することまで、彼が行っていた部分も少なくなかった。どういうことかというと、過剰なまでに作品の商業的な位置づけ、価値を謳わなければならなかったということである。「ザブングル・グラフィティ」と「ドキュメント 太陽の牙ダグラム」の2本立ての公開は、「劇場版イデオン」公開の翌年である。彼はこの時、このような内容のことを、報道を通じてアニメ愛好家に語りかけた。「これまで毎年のように、夏にはアニメの劇場用大作が公開されてきた。しかし、1983年には目立った大作がない。これはアニメ界にとって不幸なことだ。総集編かもしれないが、アニメの勢いを止めないためにもあえて総集編を公開するのだ」・・・と。
これは本来、製作者が語るべき内容だ。内容とは関係ないからだ。この作品を公開する意義、製作した目的を語るのは、本来、製作者の守備範囲だと思う。富野がでしゃばってしまったのか、当時のサンライズが「こけた」時の責任を転嫁するために、富野にお鉢を持って行ったのか、これは当事者のお話を伺うしかないことだ。
富野はかつて、初代ガンダムの放送時に、アニメ雑誌のインタビューにこう応えたことがある。OUTかアニメックだったかだと思う。「未来少年コナンの劇場版はダメだ。なぜなら、コナンのような傑作を、あの程度の尺に収めること事態に無理があるからだ。もしも将来、ガンダムが映画になるなら、僕は3部作にして7時間以上の作品にする」と風呂敷を広げたのだ。そして、後年、彼は見事にその広げた風呂敷を比類ないほどに美しく畳んで見せた。
その富野が、「未来少年コナン」の劇場用と同じレベルでの「映画」作りをしないといけない立場に立たされたのが「ザブングル・グラフィティ」だった。ガンダムやイデオンのような好条件ではない。全50話のTV作品を90分の尺に収めて公開しろという会社の命令が下ったのである(まさか、富野が自分から望んだわけなぞ、あるまいて!!)。
かつて、自分が否定したのと同じ劇作りなどできない。彼は開き直って「ザブングル・グラフィティ」を「戦闘メカ ザブングルを紹介する番組です」という開き直りで作ってみせた。発想の転換で逃げ切った。
僕はこの映画、実は冒頭しかみていない。冒頭は「疾風ザブングル」が使用されていた。MIOの歌がどのように使われたかすら知らない。だが、伝え聞く内容は、富野の強かなしっぺ返し(素直にろくでもない総集編なんか作るものかよ!! 馬鹿にすんな!!という富野の意思)に溢れた内容だったと思えるのだ。
そうした富野の「戦い」は、劇場版「Zガンダム」3部作でもみてとれるのだが、これはまたの機会に。

※1)以下のブログでEP盤のジャケット画を見ることができる。懐かしい。
http://blog.goo.ne.jp/spaceharrier/e/e37520c44b3064942605effcf42d08a7
※2)ちょうどMIOがデビューしたと同じ年、KING‐スターチャイルドレーベルは失態に等しいチョンボをした。富野チルドレンが待ち望んだ劇場版イデオンの主題歌に、スターチャイルドは水原明子を起用した。澄んだ声の持ち主であるが、いかんせん声量と技量が不十分であった。そして、TV版の「コスモスに君と」があまりに名曲過ぎた。残念ながら水原明子はアニメ愛好家の後押しを得られず、むしろ反発を買う結果となった。普通の歌謡曲でデビューした方が、幸せな経過をたどったかもしれない。
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確かに名曲です。いいブログ、楽しんでいます。
  • 2015-03-19 14:51
  • TH
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