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その歌は、彼女の「舞台」だった-エリア88「Good-bye, Lonely Blue」

エリア88 EP
「エリア88 主題歌EP MIO KING RECORD 1985 K03S 3070」
新谷かおる作「エリア88」は1979年に連載が始まり(※1、1986年に完結した作品だ。既に25年の歳月が過ぎているが、今も新谷の代表作と言って差し支えはないだろう。
新谷かおるは松本零士の作画協力を務めた経歴もあり、デビュー当初は松本の影響を色濃く残していた。最初期作も「戦場ロマン・シリーズ」であり、松本の「ザ・コックピット・シリーズ」を彷彿とさせる、戦場を舞台にした作品だった。
初期の画風も同様で、黒いベタが際立つ画面に人物や照明が浮かび上がる、「松本流」の画面構成だった。強弱の強い「うねうねした」描線にも松本の影響が明らかだった。
しかし、経験を重ねるにつれて、新谷の画風は大きく変わり、ベタの量も減り、次第に少女マンガ的な繊細な描線に変わっていった。ウィキペディアによると、元々は少女マンガ家志望だったのだそうで、非常に得心がいった。
新谷はやがて、史村翔を原作に迎えて「ファントム無頼」の連載を開始、更にこの「エリア88」(※2を発表し、この2作品が大きく評価された結果、一流の称号を手にいれたのだった。

新谷かおるという作家はまた、松本零士との関係も含めて、当時のアニメ界と大小、多数の関わりを持った人だった。
「ファントム無頼」の原作、史村翔(自衛隊に在籍歴あり)が「ドーベルマン刑事」「北斗の拳」の原作者である武論尊ということはもはや常識と言っていいだろう。
また、ゆうきまさみが新谷かおるの作画協力を務めた時期があり、初期の代表作「究極超人あ~る」で新谷の令嬢の名前を拝借した場面もあったりする。


彼の人気の絶頂期は70年代末から80年代にかけてだが、この時期にはアニメの人物造形の依頼もされており、TV作品「宇宙大帝ゴッドシグマ」(1980年)で仕事をしている。
もっとも、少女マンガ的な彼の描線や人物造形は、80年代当時のアニメ界の作画技術では処理が難しかったようだ。最盛期の彼の人気を考えると、その割には直接的なアニメ作品との関わりが意外と少ないように思う。
上述の「ゴッドシグマ」に続くとなると、オリジナルビデオアニメの「エリア88」の他には、途中で放送打ち切りになったTVアニメ「ふたり鷹」(※3やビデオアニメの「クレオパトラD.C.」くらいであり、あまりアニメ関連で大成功したという印象はない。(※4

「エリア88」は中東の架空の国アスランを舞台に、天才戦闘機操縦士である風間真の生死をかけた戦いを軸に展開する、戦争と陰謀、仲間との友情や恋人との悲恋も絡めた一大活劇物語だ。
主人公の風間は日本の民間航空会社に勤め、将来を嘱望されていた。しかも社長令嬢である津雲涼子が恋人であるという、「末は社長か」という出世街道まっしぐらの人生であった。しかし、自分の出世のために、風間の失脚を目論む友人、神崎に裏切られ、泥酔している時にある書類に署名させられてしまったのである。
その書類とは―。
アスラン王国の傭兵部隊の戦闘機の操縦士として働きます―っつうものであった。
つまり、いきなり中東で殺し合いばかりしている連中の一人になって、格闘飛行(ドッグファイト)をして戦えというのである。
高校生の頃の僕は、「おおっ、燃える展開やないか」と、思った。平和な日本で幸せな生活が待っているはずの好青年が、ボトムズばりの戦場を彷徨うわけである。カレンダーに毎日、印をつけて「契約が終わるまでまだ何日・・・」「死にたくない、日本に帰りたい!!」と苦悩する主人公の姿は、否が応にも物語の緊張度を高めていた。
でもね。
おっさんになった僕は、「民間操縦士が戦闘機乗りって・・・・そりゃいくらなんでも無茶苦茶やがな、新谷さん」と突っ込んでしまいたくなる。
いくら天才とはいえ、普通の離着陸の経験しかない操縦士(多少の危険といっても、天候関係くらいか)が、いきなりの格闘飛行で勝てるはずが、生き残れるはずがない。体操の天才内村選手にバーリ・トゥードで戦えというのにほぼ等しい。ある程度、訓練を受けたとして、普通は初戦で戦死だろう。
まっとうな軍人であれば、「軍隊経験のない奴と契約できるか、神崎、ワレはなめとんのか!?」と怒り出すはずだが、なぜか不問で契約してしまうのだ。
そんなに人材がなかったのか、アスラン王国。節操なさすぎる。すぐ戦死しそうな傭兵を集めても、むしろ契約金の無駄遣いじゃないのか。産油国で金だけは腐るほどあるから気にしないのか?(※5
ところがだ。主人公だから当たり前といえばそれまでだが、風間真は初戦を生き残った上に、やがて戦闘機乗りとしても天才扱いになるのだから、物語の世界は恐ろしい。
風間は次第に傭兵の立場を越えて、アスラン軍の司令の信頼を得るようになり、軍の中心的存在となっていく。だが、アスラン国内の内紛が激化、体制が崩壊し、彼は国王の亡命に立ち会うこととなる。アスランからの離脱、アフリカでの戦闘、巨額の富の獲得などなど、物語は二転三転して、見ごたえのある活劇を繰り広げた末、余韻を残して終結する。機会があれば、一読をお勧めする。

この「エリア88」を1985年スタジオぴえろがアニメ化した。TV作品ではなく、ビデオアニメだった。
まず前後編(ACT I 裏切りの大空」・「ACT II 狼たちの条件」)が製作された。これが好評だったのか、1986年にさらに「ACT III 燃える蜃気楼」が製作された。Ⅰ・Ⅱは現在、劇場版でのみ鑑賞できる。



監督は「科学忍者隊ガッチャマン」の代表作を持つ鳥海永行。
鳥海は、新谷の非常にマンガ的な描線に大きな変更を加えた。やや荒唐無稽な展開もみられる原作を映像化する際、より現実的な世界観を構築したかったのだろう。彼の作品をが目れば、鳥海が画面の実在感を重視する監督であることがわかる(※6。
このため、新谷の人物造形の持つ愛らしさは大幅に訂正された、より劇画的な造形に変えられた。一部の人物の頭身も現実的なものに変更された。ほとんど2頭身だったアスラン国王が、現実的なアラブ民族風の造形に変えられていた。しかし、ちょっと無理もあって、風間の恋人の造形には歪さを感じてしまったが。
登場人物

とはいえ、限られた尺の中で、「エリア88」の持つ戦闘の緊張感、風間真の望郷の念、アスラン王国を取り巻く不穏な政治情勢などが巧みに語られていたと思う。

このスタジオぴえろの作品に、またも歌姫が降臨した。
MIOの「Good-bye, Lonely Blue」と「悲しみのDESTINY」だ。
作詞 :三浦徳子、作曲:新田一郎の布陣である。

歌詞GET Good-bye, Lonely Blue

三浦徳子は1980年代を中心に数々の歌謡曲の作詞を手掛けている。ウィキペディアを引用すると、岩崎宏美・松田聖子・早見優・堀ちえみ・工藤静香などの女性アイドル歌手、沢田研二・郷ひろみ・田原俊彦などの男性アイドル歌手や、八神純子・TUBEらのシンガーソングライター、初期の松田聖子にも歌詞を提供しており、作詞家として人気作家であったことがうかがえる。
三浦による歌詞は、僕の中の「エリア88」の世界観にきれいに重なって聴こえたものだった。
歌詞は主人公を見守る者の視点から描かれている。
「砂塵」の中で過酷な戦いを強いられ、挫けまいとするために感情を押し殺そうとする主人公。「魂(こころ)はもうここにない」というのは、魂だけでなく、彼の肉体そのものの不在も感じさせる。
そして、「涙なんて流さない」「優しさだけ怖れてる」という、戦いの中で虚無的にならなければ耐えられず、優しさに触れただけで挫けそうになってしまう主人公の極限の精神状況が語られる。
その主人公の言葉と、彼を見守る者の言葉(「あなたの ああくちぐせ」「抱きしめてあげるよ」)が交互に歌われ、歌の緊張度を高めていく。
この歌を聴いた時、原作を知る者ならば、見守っているのが、風間の恋人である津雲涼子だとすぐに連想されたことだろう。しかし、「二つの影が 寄り添うことない」という悲恋。「エリア88」の世界観を劇的な描写で描いた優れた歌詞だと思う。
他方、新田一郎はトランペット奏者から業績を積み始め、1970年代に人気絶頂だったキャンディーズのバック演奏を務めるなどし、自ら「ホーン・スペクトラム」「スペクトラム」のバンドを結成し、演奏も歌手も行いながら、音楽活動を続けたという。スペクトラムは2年間で活動を停止したそうだが、以後は音楽製作者、作曲家としての活動が中心になっている。
彼は導入で中東の音楽を思わせる音階を用いて、三浦の歌詞とともに「砂漠の国の戦い」という印象を高めている。その後の展開も王道と言っていいかもしれない。やや抑えめに歌を進めた後、「Good-bye, Sweet good-bye, Blue Lion(※7」で一気に勢いをつけて、血を吐くような主人公の言葉を聴く者の心に刻み付けるように強調し、一方で恋人の癒しの言葉は、そのままに素直に届くように歌い上げている。

この稿を書きながら、初めて聴いてから20年以上たった今もこの歌につい耳を傾けてしまうのは、実はこの語り口の巧みさからだろうと思い至った。
ああ、そうなんだ。歌の後半の二人の心の掛け合いが、この歌の魅力なんだ、と。
風間には津雲の姿は見えていない。でも、津雲を求めている。救いを請うている。津雲には風間の姿が見えている(ように信じているだけなのかもしれないが)。でも、彼女の声は届かない。交わりたくても交われない思いというのは、古典的な恋愛物語でよくみかけるが、劇的に描くことに成功した歌だろう。

これを、MIOが歌った。これがまた、見事な歌いっぷりだった。
冒頭から「ここにない」までの彼女の歌だが、元々が芯の通った強い彼女の声を心持ち、和らげて、そこに不安と心配の色合いを混ぜて、風間を案ずる津雲の心情を語っている。たぶん、僕はこのMIOの声の、歌の「演技」に一気に「エリア88」の舞台に引き込まれたのだと、今になって思う。彼女の声に注目してほしい。
たくましさの中から滲み出る、愛する者の傷ついた姿への悲しみ、怒りがさりげなくも感じられないだろうか?
そうなのだ。この歌でMIOは女優そのものなのだ。歌のみならず、MIOの演技まで堪能できる。
後半の風間と津雲の心の掛け合いでも、脚本:三浦徳子、演出:新田一郎の手による舞台に上がって、MIOは大女優の一人芝居のごとき演技を行っている。力強さと、繊細さが同居する素晴らしい演技だ。終わりの「抱きしめてあげるよ」からあふれ出す、津雲涼子の感情、慈愛に満ちているが、単に優しいだけではなく、自分自身も戦おうという意欲すら感じられる声の表現は、この大活劇を飾るに相応しい力が漲っている。
お見事!!と檜の舞台上のMIOに声をかけたくなる。
「Good-bye, Lonely Blue」はそういう歌なのだ。

・・・・・「悲しみのDESTINY」は次回ということで、すみません。

※1)宇宙歴0079・・・の通り、初代ガンダムの放送年。ただ、それだけのことだが、70年代の終焉とガンダムの始まりという象徴的な意味合いを、僕は1979に感じてしまうのだ。
※2)連載されたのは「少年ビッグコミック」。僕たちの世代にはあだち充の「みゆき」を連載した雑誌として記憶に残っている。「みゆき」は、あだち充のラブコメ路線が花開いた作品で、まあ、僕もはまったよなあ。因みにこの雑誌の前身は僕が小学生の頃に創刊された「マンガくん」(1976年創刊)。妙な前でっぱの野球小僧がイメージキャラクターに採用されていた。当時、人気絶頂の水島新司の「球道くん」を看板連載にしていた。さりげないところで藤子・F・不二雄のエロスが炸裂する「エスパー魔美」まで連載されていたのだから、あなどれないというか、当時の編集者が凄すぎる。書店でみかけなくなって、てっきり僕は廃刊になっていたと思っていたのだが、1979年に「少年ビッグコミック」に昇格されていたのだ。時代は移ろい、それが1989年に更に「ヤングサンデー」に変わったりしたのだが、マンガ不況のあおりを受けて、2008年あえなく廃刊となっている。
※3)まあ、打ち切りの王者、国際映画社製作だったから・・・。
※4)漫画は人気が高かったのに、アニメで成功できなかった作家と言えば、たがみよしひさもそうだった。彼の描線も当時、アニメ化するには個性的に過ぎたので、アニメ関連で成功作はないんじゃないだろうか。「ガルビオン」も打ち切り(やっぱり国際映画社製作!!)だった。出世作の「軽井沢シンドローム」のビデオ作品は、アニメの間におねいちゃんたちのプチエロビデオが挿入されたり、変則的な内容だった。しかも、せっかくTVドラマ化しようとしたら俳優が事故を起こしてお蔵入りするなど、呪われてんのかという展開だった。出崎哲監督の「GREY」は地味ながら、けっこうよかったのだが。
※5)ドバイに立ってるっつう世界一高いビル、ブルジュ・ハリーファは、僕には一生、縁がない建物なのだが、「人類の無駄遣い」という思いがして仕方がない。
※6)「アニメンタリー決断」の構成、「ガッチャマン」「テッカマン」「ポリマー」という三大タツノコ番組の監督を担当しているが、実在感のある画面を築いている。特に「決断」という太平洋戦争の実録アニメは実写か!?と見紛う画面を、昭和46年(1971年)に実現している。化け物か、タツノコプロは、と思ってしまう。


※7)Blue Lionが何を意味するのか、僕は知らない・・・・。
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